2017.05.23

毎日新聞コラム「大地の棚田日記」5月編

大地の棚田日記棚田水路掃除

みなさんは「出合い仕事」というものをご存じだろうか?

毎日新聞連載コラム「大地の棚田日記」5月の記事です。
御覧ください!
https://mainichi.jp/articles/20170522/ddf/012/070/019000c

以下、5月22日掲載文

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みなさんは「出合い仕事」というものをご存じだろうか?

 出合い仕事とは、集落の住民が行う共同作業のこと。僕が暮らす上山には、住民なら出なくてはならないこの出合い仕事というものが数多く残っている。具体的には、生活道路や農道の草刈り、神社の掃除、ため池から田んぼへと続く水路の掃除や草刈り、祭りの準備などだ。上山では、最盛期には8300枚もあった棚田を維持するためにため池からそれぞれの田んぼへ向けて水路が張り巡らされている。池の水門は毎年6月1日に開門となるため、5月末までに落ち葉や土砂で埋まった山中の「水路の掃除=出合い仕事」に集落の皆で励むのが春の風物詩だ。

 今年も4月末の作業を皮切りに、水路掃除がスタートした。午前8時、ずらっと並んだ軽トラの先に上山の人々が集う。各戸から1人ずつの参加で総勢50人ほど。朝イチに集められているとはいえ、みんな楽しそうな様子だ。高齢・過疎化と言われつつも、世代交代が進んでいる家もあって「あんたはどこの息子じゃったかな?」「○○のとこです」といった、じいちゃんと若手の会話も聞こえてくる。区長のあいさつが終わったその時が作業開始の合図だ。

水路掃除をただの野良作業と侮ることなかれ。ここに参加することが上山の住民としての証しとなる。水路の掃除や道の草刈りなどは都市部では行政サービスの一環として行われていることが多く、住民が集って労力を割く姿は物珍しく見えるかもしれない。でも出合い仕事があるおかげで、住民同士のコミュニケーション不足が補われ、農村における暮らしの知恵や技術が世代を超えて受け継がれていく。移住者にとっても地域を知り、地域になじむ絶好の機会となっている。 落ち葉や土砂をさらいながら、僕もこれまでにたくさんの話を聞いてきた。出合い仕事は、さまざまな側面から地域を支える大切な仕事なのだ。

(NPO法人「英田上山棚田団」=岡山県美作市=理事・水柿大地、写真も)

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