モビリティ

上山から日本の田舎を変える!
モビリティプロジェクトとは?

この小さな電気自動車が、「未来の田舎」の扉を開こうとしています。

上山にいると、たびたび小さな電気自動車を見かけます。それは軽自動車よりも小さくて、狭い農道が広く見えるほど。なぜこんな山の中に、こんな未来のクルマが走っているのでしょうか?
実は上山では、棚田の再生を行うかたわら、交通の不便な中山間地域における「移動」の問題解決にも取り組んでいます。

全幅はほんの1mと少し。狭い農道が広く見えます。

全幅はほんの1mと少し。狭い農道が広く見えます。

たとえ棚田が再生されても、田んぼを支えるお年寄りたちの高齢化は進みます。となると近い将来、農作業は厳しくなる。街まで買い物に出ることはもちろん、隣の集落に出かけることさえ不自由になりそうです。それを理由に泣く泣く上山を離れ、移動のラクな都会に移るようなことがあってはならない。あくまでも「自分の意思で」、生まれ育った地域に残るのか、離れるのか、決められる環境を整えておきたい。そんな思いから、2015年、上山ではあるプロジェクトがスタートしました。

『大芦高原温泉 雲海』の隣りには、モビリティプロジェクト・オフィス。

『大芦高原温泉 雲海』の隣りには、モビリティプロジェクト・オフィス。

「交通が不便な地域だからこそ、「移動」の問題をリアルに研究できるんです」。
と語るのは、『上山集楽みんなのモビリティプロジェクト』を推し進める西口和雄さん。これは『英田上山棚田団』と、岡山県の中山間地域の集落を支援するNPO法人『みんなの集落研究所』が協働で取り組むプロジェクトで、財団法人『トヨタモビリティ基金』によるサポートを受けています。この場合の”モビリティ”とは移動の意味、さらには理想的な移動を可能にする小さな電気自動車そのものを指すこともあります。

春から秋にかけて、幌を全開にして走る心地よさは格別。

春から秋にかけて、幌を全開にして走る心地よさは格別。

「子どもの頃、自転車に乗るようになって行動半径がグッと広がったでしょう? モビリティとは、まさにあの感覚なんです。お年寄りだけではなく、中山間地域に住む誰もが移動の不自由から解放される感覚。こんな研究は、移動に困らない都会にいてもできませんからね」
と西口さん。

『上山集楽』のメンバーがコムスに乗って通りかかると、地元の人から声をかけられることが多い。するとさっそく体験試乗。「これでいろいろ、荷物が届けたりできるとえぇねぇ…」というような感想を聞くことができます。

『上山集楽』のメンバーがコムスに乗って通りかかると、地元の人から声をかけられることが多い。するとさっそく体験試乗。「これでいろいろ、荷物が届けたりできるとえぇねぇ…」というような感想を聞くことができます。

現在は、このようなモビリティを日常でどのように使うと良いか、農林業でも活用できないか、など、住民に対する個別の聞き取り調査を行っています。さらに住民の足として活用するだけではなく、観光などでの利用も開始。すでに多くの視察やテストツアーでは好評をいただいております。

この小さな電気自動車が上山を変え、
上山が電気自動車の歴史を変える。

「もともと田舎には、都会で生まれた便利な道具を、地域の実情に合わせて作り直す気風があります。すべて自己責任のもとで、お年寄りがトラクターに手を加えたり、軽自動車をカスタマイズするなんて当たり前。その中に電気自動車が加われば、思いもよらないアイデアが生まれることなど目に見えていますよ」
地域内でのカーシェアリング、二人乗りのクルマを作ってお年寄りの送り迎え、その程度のアイデアであれば今すぐにでも実現できそう。だったらこのクルマで自動運転が可能になれば、文字通りお年寄りの足になる。オフロード仕様のクルマを作って、林業でも使えないか。などなどの会話が、今も棚田の集落で繰り返されているのです。

坂道発進角度は19%勾配。下りでは早めにブレーキを使うことが、安全に走るためのポイント。

坂道発進角度は19%勾配。下りでは早めにブレーキを使うことが、安全に走るためのポイント。

「そして何より、電気自動車であることが大切なんです。もしも上山の各家庭で電気を作れるようになれば、わかりますよね(笑)。エネルギーを自給する田舎の小さな集落では、お年寄りが自動運転の電気自動車で自由に移動している。そんな夢のような話が実現すれば楽しいじゃないですか」
上山西地区の総戸数は70、人口は170人ほど(2016年現在)。過疎の地域だからこそ実現できそう。やがて上山に続いて、日本中の田舎が変わるかもしれない。あの小さい電気自動車は、そんなに大きな夢を乗せて走っているのです。

超小型EV『コムス』。気温が20℃の場合、家庭用電源から6時間でフル充電完了。フル充電からの走行距離は50kmほど。

超小型EV『コムス』。気温が20℃の場合、家庭用電源から6時間でフル充電完了。フル充電からの走行距離は50kmほど。

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